【書籍】聖地パレスチナ一人散歩○表紙の話

『聖地パレスチナ一人散歩』
初めてパレスチナを旅した時の話です。ガイドブックでもなく、学術書でもない、ただ旅が好きな人がパレスチナを旅してここに決めた!となる話。
今回、表紙にも工夫というか思いを反映させました。
パレスチナの象徴でもあるエルサレムの黄金のドーム(岩のドーム)を真ん中に囲むのはマムルーク風の窓。
そしてその周りにはうちわサボテン。
ちなみにわたしの描いたラフはラフ中のラフでした。

ここからデザイナーの稲尾聡美さんがヒヤリングしてわたしのイメージを具現化してくれました。
この表紙はエルサレムを表しています。それは黄金のドームがあるからというだけではないのです。
この窓は西エルサレムのカタモン地区をイメージしています。
カタモンは元々アラブ人の高級住宅地でした。しかし、家を追われ逃げて行き空き家になった邸宅はユダヤ人入植者たちが住むことになります。
多くの村々はそこに人が住んでいなかったかのように痕跡がないくらいまっさらになります。しかし、カタモンは美しかったのでそのまま残っているのです。中身だけ入れ替わって。

そしてぐるりと囲むうちわサボテン。
これはエルサレムの入り口、リフタ村をイメージしています。
リフタ村はわたしの大好きな場所の一つです。ここは家は壊され今は誰も住んでいません。
至る所にサボテンがあります。サボテンは家があった証拠です。
パレスチナ人は家の守ってくれるものしてサボテンを植えます。何もないところにうちわサボテンがあるのは家があり村があったからです。
アラブの旅でもなく、エルサレムの旅でもなく、イスラエルの旅でもなく、これはパレスチナの旅です。
パレスチナがある
ということをこの表紙に込めています。
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