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旅とアイデンティティ

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旅に出た。
旅というよりも単なる遠出である。

屋久島で会った人が鹿児島の人で鹿児島旅行しようと思うから一緒に来ない?

そう言ったのは”ヨルダン人”のヌールだ。
彼女は神戸に住んでいる。

鹿児島はわたしの住む福岡から車で4時間。同じ九州アイランドにありながら、到着すると生えている植物の色が違う。
言葉はわかるけど言葉が違う。
海と言えば玄界灘だったはずが、ここでは東シナ海である。
ほんの200kmの距離なのに。

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夕食時、彼女はこんな話をした。

わたしはクウェートで生まれて18歳までクウェートにいて、それからアンマン(ヨルダン)に引越しして、でもパレスチナ人で、パスポートはヨルダンだけど、ヨルダン人でもないし、クウェートで生まれたのにクエート人でもなく、パレスチナ人だけど、パレスチナに行ったことなくて、今日本にいるのよ。

彼女は語学の先生として就労ビザを得て日本に住んでいる。

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両親ともに日本で生まれわたしもそのまま日本で生まれ当たり前に日本にパスポートを持っててたまに海外に行ったり住んだりしながら、母国はどこ?なんて疑問に思ったこともない。

彼女の祖父母はパレスチナのナブルスに生まれた。中東戦争でパレスチナを離れヨルダンに行き着いた。その後クウェートに移住した。ヨルダンに戻った。パレスチナには戻れない。
子や孫に故郷の話を聞かせる。パレスチナ人であるという自覚が生まれる。近くて遠い故郷。
パレスチナ人の友達がいたら一度はこう言った話を聞いたことがあるかもしれない。

彼女はこう言っていた。

政治のせいでわたしはどこの国にも属することができない。ヨルダンのパスポートは持ってるからヨルダン人だけど、わたしはヨルダン人じゃない。
来年は日本に帰化しようと思ってるの。ヨルダンのパスポートより日本のパスポートの方が便利だし、日本で生きやすくなるから。日本人になれるわけじゃないけど。

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わたしの友達でネパール生まれで日本に帰化した人がいる。彼は書類上、日本人だ。選挙にも行っている。
いつもわたしにこういう自虐的な言葉を使い。

僕はおかしな外人だからさ。

わたしは外人という言葉が嫌いで、日本の国籍を持ち選挙権を持ち参政している彼にこう答える。

あなたは日本のパスポート持って国政選挙だって行って、地方選挙だって行ってるんだから日本人でしょ!生まれは外国かもしれないけど、今は日本人でしょ!

日本のパスポートを持ってるだけだよ。外国人だからって差別されるからね。

22歳のとき、ロンドンにいた。いたというか旅をした。
ロンドンのクラブで遊んでいたとき、白人の男性に話しかけられた。

どこから?

日本よ、あなたは?

アフリカだよ、南アフリカ。

まだまだ世界を知らなかったあの頃、境界線とか色とか言葉とか違いを線引いていた。

ヨーロッパは白人の国、アフリカは黒人の国、そんな風に思っていたけど実際は違う。

リトルパキスタンとかレバノンストリートとかチャイナタウンとかロンドンには色んな場所があった。ロンドンだけじゃない。日本にだってある。

アイデンティティが脅かされそうになるとアイデンティティは強くなる。
旅をして自分が何者なのかとか、どんな文化背景で過ごしてきたのかとか、どんな価値観を大切にしたいとか、色んなことを考えるようになったと思う。

鹿児島の旅だけど久しぶりに英語を使って他人と時間を過ごした。昔、ゲストハウスで知り合った一時の友達とワンデイトリップに行った時のことを思い出した。

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知らない街を歩きたい。

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